衆議院 法務委員会 第13号
○辻(秀)委員 自由民主党の辻秀樹でございます。 本日は、質問の機会を賜り、感謝を申し上げます。 早速ですが、交通事故等により被害を受けた胎児に係る法整備等について、通告に従い、順次質問いたします。 昨年五月、愛知県一宮市におきまして、交通事故により妊婦の方の貴い命が失われ、緊急帝王切開で出生した女児には重篤な障害が残る大変痛ましい事故が発生いたしました。被害者の方々にとりましては、最愛の家族を失った深い悲しみと女児の将来への不安を抱える、二重の苦しみを抱えることとなりました。 刑法上、胎児は人ではなく母体の一部とされるため、胎児は被害者としては認められず、加害者に対する自動車運転死傷行為処罰法の適用は困難であるという現状は、被害者の方々による、言葉では言い尽くすことのできない悲痛な思いや処罰の感情の気持ちに寄り添えば、余りにも納得できるものではないと思っております。 その被害者家族の方々が、生まれた女児も被害者として扱ってほしいと切実に訴えていることを背景に、本年三月二十五日、愛知県議会では交通事故等による被害を受けた胎児に係る法整備についての意見書が全会一致により採択され、交通事故等による母体への加害行為によって胎児が出生後に死傷した場合における自動車運転処罰法等の処罰規定について、刑法上の見直しも含め議論を行うことなどを国に求めており、まさに昨日、二十五日、この意見書が本委員会へ参考送付されたところであります。 本件につきましては、本年四月十五日の本委員会における和田政宗委員による質疑におきまして、様々な論点や課題が示されたところであります。 刑法上の一般論としては、刑法犯の客体は人、自然人であり、人の始期は出生であり、刑法上の出生は、判例上、胎児の一部が母体から露出した時点とされ、母体からまだ露出していない胎児は、刑法犯の客体である人には含まれないと解釈されております。したがって、昨年五月の交通事故では、事故当時の胎児は交通事故の被害者としては認められませんでした。 しかし、遺族による加害者に対する処罰を求める思いに賛同するオンライン署名は十三万筆を超え、現行制度の改善を求める多くの国民の声が司法に届き、訴因変更が行われ、事故当時に胎児であった女児に出生後事故に起因する障害が残ったことが起訴状に追記されました。 交通事故により被害を受けた胎児に係る過去の判決では、例えば、二〇〇三年、鹿児島地裁の判決では、妊娠七か月の妊婦が交通事故により入院治療を要する常位胎盤早期剥離等の傷害を負い、その傷害を原因として早期に出生した子供に全治不明の脳の傷害などを負わせたものとして、事故当時に胎児であった子供を被害者とする業務上過失傷害罪を認めたものなど、胎児の被害者認定の判決が幾つかあります。 そこで、法務省にお尋ねいたします。 刑法犯において、胎児は犯罪の客体である人には含まれないと解される一方で、胎児を人として被害者の認定を行ったように見える裁判例が存在しますが、なぜこのように判断が異なるのか、法務当局にお伺いをいたします。